抄録
本研究では, 風力発電が新エネルギー源として台頭した1980年代より現在に至る社会的イメージの変遷に着目し, 風力発電に託される社会的な期待の内容や課題の変遷過程を明らかにした. 1984年8月~2005年12月に掲載された朝日新聞の記事 (記事数481万7940) から関連記事2,604件を抽出し, 各記事内容を精査しその内容の変遷を明らかにした. その結果, 風力発電に対する社会的イメージは技術確立期 (~1990年前半), 環境象徴化期 (1990年代後半) と変遷し, 近年は価値が発電の仕組みや環境への貢献などといった意味内容には必ずしも直接結びつかない表層的な記号に価値をおく傾向があることがわかった.