日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: S2-6
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シンポジウム2 小腸腫瘍の診断と治療
小腸癌の部位別サイトケラチン、ムチン系蛋白の発現パターンの相違についての検討
*星本 相理辰口 篤志西本 崇良橋野 史彦大森 順秋元 直彦佐藤 航田中 周藤森 俊二岩切 勝彦
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抄録

【背景】小腸は、十二指腸、空腸、回腸から成る。これらに発生する癌は、小腸癌として取り扱われるが、部位別の免疫学的表現型の相違については十分に解明されていない。

【対象と方法】小腸腺癌47例から得られた組織検体を用いて、CK7、CK20、MUC2、MUC5AC、MUC6、CD10の免疫染色を施行した。癌細胞の10%以上が染色された場合陽性と判定し、患者の臨床病理学的データと比較検討した。患者の年齢中央値は69歳(32-84歳)。平均観察期間は41ヶ月(3-90ヶ月)。原発の局在は十二指腸17例、空腸26例、回腸4例。分化型38例、低分化型5例、粘液癌4例。TNM国際分類で、stage l 13例、stage ll 14例、stage lll 7例、stage lV 13例。予後との相関はカプラン・マイヤー法を用いた。

【結果】どの部位においても大腸癌パターンであるCK7(-)/CK20(+)が半数以上を占めたが、十二指腸、空腸ではそれ以外の組み合わせも認められたのに対し、回腸では全てCK7(-)/CK20(+)であった。ムチン系蛋白に関しては、MUC2は、粘液癌では75%に陽性であったが、粘液癌を除いた癌では、その欠失は予後不良と相関していた。CD10の欠失は深い深達度と相関していた。各陽性率は、十二指腸でMUC2は47%、MUC5ACは29%、MUC6は59%、CD10は59%であった。空腸ではMUC2は58%、MUC5ACは38%、MUC6は23%、CD10は12%であった。回腸ではMUC2は75%、MUC5AC、MUC6、CD10はいずれも0%であった。

【結論】CK7/CK20の染色性、ムチン系蛋白の染色性より、十二指腸と空腸には大きな違いはなく、回腸はそれらとは異なる特徴を有することが示された。

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© 2020 本論文著者
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