ペット栄養学会誌
Online ISSN : 2185-7601
Print ISSN : 1344-3763
ISSN-L : 1344-3763
一般演題
生菌製剤投与が健常犬の消化管におよぼす影響に関する基礎的検討
福島 建次郎大野 耕一前田 真吾五十嵐 寛貴小田巻 俊孝高津 善太金本 英之辻本 元
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_41-suppl_43

詳細
抄録
近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオテ ィクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および制御性T細胞(Treg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後にFirmicutes門が減少し、Fusobacterium門およびBacteroides門の菌の構成比が増加していた。また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な差は認められなかった。今後はTregの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、プロバイオティクス投与にともなう健常犬の腸内環境の変化についてさらなる検討を進めていく予定である。
著者関連情報
© 2015 日本ペット栄養学会
前の記事
feedback
Top