ペット栄養学会誌
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原著論文
ビーグルにおける Streptcoccus salivarius K12による口臭抑制効果についての基礎的検討
松本浩毅大草 朋子吉松 宏基望月 庸平手嶋 隆洋小山 秀一
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2016 年 19 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

ビーグルに対して Streptcoccus salivarius K12(SSK12)を連日給与することにより口臭や口腔内細菌に対する影響を検討した。SSK12の給与群(n=3頭)と無給与の対照群(n=3頭)を用いて口腔ガス臭と呼気臭の官能検査そして気体検知管測定器を用いて口腔内のアンモニア、メチルアミン、メチルメルカプタンおよび硫化水素を測定した。口腔内スワブを嫌気培養し黒色色素産生菌集落の数を求めた。PorphiromonasP.)gingivalis P. gulae の検出は、口腔内スワブと黒色色素産生菌を用いてPCR法により行った。口腔内細菌数の測定は Real-time PCR法で行った。官能検査ではSSK12給与群の口腔ガス臭の評価ポイントの低下と呼気臭感知までの距離の延長が認められた。また、対照群のアンモニア濃度は、実験前に比べその4週後は増加したがSSK12給与群ではSSK12給与後に低下した。対照群のメチルアミンは、実験4週後には有意(p<0.05)に増加したが、SSK12給与群では給与前後で有意な差は認めなかった。口腔内スワブと黒色色素産生菌の両者からはともに P. gingivalis は検出されず、口腔内細菌数の変化には明らかな差異は認められなかった。これらのことから、SSK12は犬の口臭抑制効果を期待できることが示唆されたが、口腔内細菌に対する効果についてはさらなる検討が必要である。

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© 2016 日本ペット栄養学会
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