抄録
妊娠期間に母体がストレスを受けると、その影響は母体のみでなく子供(仔マウス) にも及ぶと考えられている。本実験では、妊娠期のICRマウスに拘束ストレスを与え、仔マウスの体重と行動の変化を調査した。出産5日目の体重がストレス処理群で有意に低い値を示したが、その後コントロール群と同様の値を示すようになった。またストレス処理群の仔マウスにおいて、自発運動量の低下と不安様行動の増加が見られた。乳汁中の各種遊離アミノ酸濃度に変化は見られなかったため、妊娠期間中に母体がストレスを受けることによって生じたコルチコステロンやアミノ酸の濃度の変化が胎盤を経由して胎仔に影響し、初期成長の抑制や行動の変化をもたらした可能性が示唆された。