2021 年 24 巻 2 号 p. S13-S14
慢性腸症(CE)と診断された犬35頭における血中のマグネシウム(Mg)およびカル シウム(Ca)濃度を評価し、腸炎の重症度や予後との関連を比較検討した。その結果、MgはCaよりも多くの症例で血中濃度が低下し、腸炎の組織学的および臨床的重症度と強い負の相関関係を示した。一方、低Ca血症を呈する症例は予後不良であったのに対して、低Mg血症の有無で症例の生存期間に有意差は認められなかった。以上のことから、犬CE症例における血中のMgはCaよりも腸炎の重症度を鋭敏に反映しており、バイオマーカーとして有用であると考えられた。