2021 年 10 巻 2 号 p. 187-196
近年,新たな経口糖尿病治療薬としてSGLT2阻害薬(SGLT2i)などが承認され,多様な効果が期待される一方で,副作用が問題視されている.そこで,JADERを用いて経口糖尿病治療薬と肝障害の関連性について調査解析し多角的に検討を行った.その結果,過去約16年間で668例の報告があり,著者らが考案した肝障害の発現リスク評価値(EiRiLI)では,DPP-4阻害薬(DPP-4i)とSGLT2iが他剤より2~5倍の発現リスクを有する可能性が示唆された.既存報告論文の解析において,臨床型では肝障害型が最も多かった.診断の根拠はDLSTの実施率が高く,アレルギー反応機序による発現率が半数以上を占める可能性が示唆された.服用から肝障害発現までの期間(潜伏期間)では,他剤による肝障害と比べ,長期服用(1か月間以上1年間未満)に伴い発現率が高い傾向を認めた.EiRiLIで高値を示したDPP-4iとSGLT2iによる肝障害については今後,詳細な研究が求められる.特に免疫学的機序が関与する場合には潜伏期間の特異性も踏まえ,投与開始から中長期的なモニタリングが必要であると考えている.