2010 年 22 巻 4 号 p. 149-155
今回われわれは,頸動脈間隙の高位に発生した頸部迷走神経鞘腫の1例を報告する。症例は,71歳,女性。咽頭部違和感を主訴として来院した。口腔内所見として,左口蓋咽頭弓に約50×60mm大,無痛性腫瘤を認めた。腫瘤は,CTおよびMRにて左頸動脈間隙を占拠していた。また,腫瘤は総頸動脈および内頸静脈を解離させ,頭蓋底まで及んでいた。われわれは,subcutaneous mandibulotomy approachを用いて切除し得た。病理組織学的診断は,神経鞘腫であった。術後,嚥下障害および嗄声を認めたが,リハビリテーションを行い,経口摂取可能な状態まで改善した。術後,約2年経過した現在,再発は認めていない。