2020 年 53 巻 6 号 p. 518-523
症例は60歳の女性で,当院整形外科で関節リウマチによる右変形性肘関節症に対し関節置換術を施行後,偽関節を合併し,2018年11月に自家右腸骨片移植術を施行した.2019年1月,発熱と意識障害を主訴に救急外来を受診した.腹部造影CTで,腸骨片採取部頭側の右側腹部に造影効果の乏しい横行結腸の脱出と,その周囲に腹水と腹腔内フリーエアーを認め,腰ヘルニア嵌頓による消化管穿孔と診断し,緊急手術を施行した.嵌頓横行結腸を含めた右半結腸切除術を施行し,再発予防のためヘルニア門は単純閉鎖に加えて,大網を授動して腹壁補強を行った.術後呼吸状態が不安定であったため気管切開術を施行したが,意識状態の改善に伴い呼吸状態も改善した.その後はリハビリなどの多職種による介入をして術後79日目に自宅退院となった.