2024 年 13 巻 1 号 p. 31-37
血糖コントロール改善だけでなく心血管イベントも抑制するsodium glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬は,術後アシドーシスの発症に注意する必要がある.今回,神戸市立医療センター中央市民病院の心臓血管外科にて冠動脈バイパス術が施行された患者を対象とし,SGLT2阻害薬と術後アシドーシスの発症について調査した.対象63名のうち術後アシドーシスを発症した患者は11名であった.そのうち糖尿病薬を服用していた患者は7名で,SGLT2阻害薬を服用していた患者は2名であった.術後アシドーシスの発症にはeGFR低値が有意に関連していた(P=0.041)が,一方でヘモグロビンA1c値やSGLT2阻害薬をはじめとする糖尿病薬の投与のいずれも有意な関連を認めなかった.冠動脈バイパス術のような侵襲性の高い手術を行う場合は,糖尿病薬の有無に関わらずアシドーシスの発症に注意する必要がある.