くすりと糖尿病
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原著論文
電子薬剤服用歴データを用いた血糖降下薬の服薬指導に関するクオリティインディケーターの算出プロセスの研究
工藤 知也北島 直希山下 恵久保田 洋子
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ジャーナル 認証あり

2024 年 13 巻 1 号 p. 38-49

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抄録

地域薬局における服薬指導の質は,医療行為の質を評価・向上させるための指標であるクオリティインディケーター(以下,QI)によって評価できるが,臨床現場でQIを運用するためには,統一したデータを,作業負担なく測定できる必要がある.そこで,処方箋と服薬指導支援機能の利用データから構成される電子薬剤服用歴(以下,電子薬歴)のデータベースを用いて,糖尿病服薬指導のQIの算出プロセスを検討した.その結果,低血糖の糖質摂取の指導実施割合は,スルホニル尿素薬35±32%(平均±標準偏差),ビグアナイド薬25±26%,ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬28±28%,Na+/グルコース共役輸送担体2阻害薬26±27%,アルファ–グルコシダーゼ阻害薬28±31%,チアゾリジン薬31±35%で,副作用の指導実施割合は,ビグアナイド薬による乳酸アシドーシス12±19%,チアゾリジン薬による心不全18±28%であった.本研究は電子薬歴の記録を用いてQIのプロセスを評価した最初の研究であり,作業負担を増やすことなく,薬剤師による服薬指導の質を向上させる過程で電子薬歴の記録を活用できることが示唆された.

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© 2024 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
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