くすりと糖尿病
Online ISSN : 2188-5885
Print ISSN : 2187-6967
ISSN-L : 2187-6967
総説
ビルダグリプチンの代謝酵素と体内動態変動因子に関する最近の研究
朝倉 充俊藤原 亮一伊藤 智夫厚田 幸一郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 4 巻 2 号 p. 155-165

詳細
抄録

ビルダグリプチン(エクア®)は肝代謝型に分類される2型糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬である.多くのDPP-4阻害薬は1日1回服用であるが,ビルダグリプチンは1日2回の服用が推奨されている.ヒト体内では稀なシアノ基の加水分解反応により主代謝物M20.7となり不活性化されることから,ビルダグリプチンの体内動態には代謝が大きな役割を担う.しかしながら,その代謝を触媒する主要な酵素は明らかになっていなかった.ビルダグリプチンの主代謝酵素を明らかにすることは,ビルダグリプチンの未変化体および代謝物の血中濃度変動の要因となる代謝酵素を介した薬物相互作用や,遺伝子多型による体内動態の個人差の予測に繋がり,ビルダグリプチンの長期使用における有効性や安全性を評価する上で重要である.本稿では,筆者らがヒトにおけるビルダグリプチンの主代謝酵素を明らかにするために行った研究について紹介するとともに,ビルダグリプチンの体内動態に影響を与える因子に関する報告をまとめた.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
次の記事
feedback
Top