くすりと糖尿病
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原著論文
糖尿病患者を対象としたプレフィルド型インスリン注入器の識別性に関する意識調査(第1報)
—製薬会社別の検討—
河村 瞳朝倉 俊成菅原 秀樹高橋 正晃清野 弘明
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ジャーナル 認証あり

2015 年 4 巻 2 号 p. 166-176

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抄録

多種類のインスリンを間違えずに注射することはハイリスク薬を取り扱う上で重要である.インスリンアナログ製剤では識別色が製薬会社ごとに異なり統一されていない.そこで,プレフィルド型インスリン製剤の自己注射施行患者39名を対象にインスリン注入器の識別に関する意識についての実態を調査した.アピドラとランタスの併用群(S群),ノボラピッドと同社製剤の併用群(N群)に分けて検討した.種類の確認方法は識別色が用いられているラベルの色よりも注入器本体の色で最も多く選ばれた.S群で「注入器本体の色を覚えることが大切である」と有意に多かった(100%).N群で「注射時(手を握った状態で)ラベルの色を確認できることは必要である」と思う人が多かった(80.0%).識別方法に関して,S群で注入器本体の色,N群でラベルの色を重要とし,サノフィ社は注入器本体の色,ノボ社はラベルの色を重視した製品の販売と情報提供を行っていることが反映していると考えられる.また,患者は識別について認識が低く,必ずしも識別色を利用した確認を行っているわけではない.同社の併用だけではなく,他社の併用も視野に入れた種類別の識別意識に関して検討していく必要がある.

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© 2015 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
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