くすりと糖尿病
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原著論文
糖尿病患者を対象としたプレフィルド型インスリン注入器の識別性に関する意識調査(第2報)
—各製剤別の検討—
河村 瞳朝倉 俊成菅原 秀樹高橋 正晃清野 弘明
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ジャーナル 認証あり

2015 年 4 巻 2 号 p. 177-188

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抄録

多種類のインスリン製剤を間違えずに注射することはハイリスク薬を取り扱う上で重要である.現在,インスリンアナログ製剤では識別色が製薬会社ごとに異なり統一されていない.そこで,プレフィルド型インスリン製剤の自己注射施行患者39名を対象に,インスリン注入器の識別に関する意識についての実態を調査した.アピドラ(Apd群),ランタス(Lan群),ノボラピッド(N-Rap群)に分けて検討した.「ラベルの色が覚えにくい」と思う人がApd群で,「ラベルの色を覚えることが大切である」,「注射時(手を握った状態で)ラベルの色を確認できることが必要である」と思う人がN-Rap群で有意に多かった.ラベルの色に関する項目において製剤間の違いが見られ,Apd群とLan群ではラベルの色に対する意識が低く,N-Rap群ではインスリンの種類を確認する時に注入器本体の色よりラベルの色に注目していることがわかった.様々な組み合わせで治療することを考慮し,ラベルの色だけではなく,注入器本体の色で識別することが考えられる.服薬指導において識別方法の確認は重要であり,患者個々に合わせて行っていくべきである.

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© 2015 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
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