抄録
本研究は(1)内円圏の聞き手と拡大円圏の聞き手の英語発音の「自然さ」の認識パターンは同じか,(2)拡大円圏の聞き手の間に評価の違いは見られるか,という問いを基に英語母語話者13名,日本人英語学習者33名,インドネシア人英語学習者8名の3群を対象に行った。実験では対象者計53名に挿入母音の有無や核音調の異なる16種類の音声を聞き,その自然さを10段階で評価するよう依頼した。結果として,どの群も母音挿入のないものを自然とする傾向があること,母音挿入がある音声をインドネシア人英語学習者よりも日本人英語学習者が低く評価したことが明らかとなり,内円圏の聞き手と拡大円圏の聞き手の英語発音の「自然さ」の認識の傾向は同じであること,拡大円圏の聞き手の間には母音挿入に対する評価の違いがあることが明らかとなった。