Journal of Pesticide Science
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Empenthrin 異性体のラットにおける代謝
磯部 直彦鈴木 工西川 淳一金子 秀雄中塚 巌吉武 彬
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1992 年 17 巻 1 号 p. 27-37

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抄録
アルコール側C-1炭素を14Cで標識した (1R)-cis-または (1R)-trans-empenthrin [(RS)-1-ethynyl-2-methyl-2-pentenyl (1R)-cis-trans-chrysanthemate] をそれぞれ3および150mg/kgまたは3および600mg/kgの割合で1回経口投与すると, 14Cは速やかに, 投与後7日目までにほぼ完全に尿および糞中に排泄された. 投与後7日目の体内に残存する14C量は投与量の0.4%未満であった. 尿, 糞および呼気中への14C排泄率はそれぞれ投与量の22~41%, 60~74%および1~2%であった. cis-または trans-異性体を3mg/kgの割合で投与した後1~8時間目に組織中14C濃度は最高となった. 肝臓および腎臓中の14C濃度は他の組織に比べ高かった. cis-異性体を投与したラットの脂肪は他の組織に比べ14Cが長期間残存した. 放射能の分布や排泄には顕著な性差は認められなかった. trans-異性体を投与したラットの組織残留14C濃度は cis-異性体投与群に比べ低かった. cis-および trans-異性体を投与したラットの糞中の親化合物量は, 投与量のそれぞれ7~13%および17~26%であった. 主要な代謝はエステル結合の開裂および生成したアルコールのグルクロン酸抱合化であった. 他に, 酸側メチル基およびアルコール側メチレン基の酸化, およびアルコール側三重結合の水和反応を認めた.
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© 日本農薬学会
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