Journal of Pesticide Science
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Print ISSN : 1348-589X
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殺菌剤メプロニルの作用機作と選択性
清水 力中尾 徹須田 欣孝阿部 洋
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1992 年 17 巻 1 号 p. 39-46

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抄録
メプロニルは, イネ紋枯病菌ミトコンドリアのコハク酸を基質とする酸素消費を低濃度で阻害したが, NADHを基質とする酸素消費にはほとんど影響を与えなかった. そこでコハク酸酸化に関与する酵素に対する影響を検討したところ, 本剤は低濃度でイネ紋枯病菌ミトコンドリアのコハク酸-チトクロムc還元酵素 (I50; 0.25μM), コハク酸-コエンザイムQ10還元酵素ならびにコハク酸-DCPIP還元酵素 (I50; 0.24μM, Ki; 0.082μM, Ki′; 0.23μM) を阻害することが明らかとなった. 以上の結果から, メプロニルの作用点は呼吸鎖複合体IIのコハク酸脱水素酵素であると考えられる. 一方, イネいもち病菌, 灰色かび病菌, ラット肝臓, マウス肝臓, エンドウ黄化幼植物ならびにサツマイモのコハク酸-DCPIP還元酵素は弱く阻害されたに留まったことから, 本剤は高い選択性を有した薬剤であると考えられる.
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© 日本農薬学会
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