1978 年 3 巻 3 号 p. 291-298
NK-049の選択的殺草機構を解明する目的で, 14C-NK-049の吸収, 移行およびその代謝について, 感受性植物としてタイヌビエを, 抵抗性植物として, イネを用いて検討した. 葉面, 根部および種子処理のいずれにおいても, 吸収速度, 吸収量ならびに処理部からの薬剤の移行性は, タイヌビエのほうが著しく大きいことが認められた. とくに, 根部から茎葉部への移行性と種子から発芽第一葉への移行性とがヒエにおいて大きかった. 植物体内におけるNK-049の代謝には, 両植物の間に大きな差が認められなかった. したがってNK-049のイネとヒエ間の選択的殺草作用の一因として, 薬剤の吸収速度と吸収量の差, ならびに移行性の差が挙げられ, 代謝による影響は少ないものと推定された. また, NK-049の第一次作用点と思われるカロテノイド生合成過程にも, 両植物の間にNK-049に対する感受性の差の大きいことが認められた.