日本公衆衛生雑誌
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地方都市における65歳以上住民の主観的幸福感と抑うつ状態について
福田 寿生木田 和幸木村 有子西沢 義子金沢 善智齋藤 久美子三田 禮造田鎖 良樹
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2002 年 49 巻 2 号 p. 97-105

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抄録

目的 北東北の一地方都市住民の特定年齢の大多数を対象として,主観的幸福感と抑うつ状態とにどの様な関連が認められ,どの様な生活をしている人が抑うつ状態にならないかということを明らかにすることを目的とした。
方法 一地方都市に在住している65歳以上の全員を対象者とし,平成10年10月から12月に,自記式のアンケート調査を行った。調査内容は,ADL (activities of daily living)の自立の有無,主観的幸福感,Zung の自己評価式抑うつ尺度(self-rating depression scale,以下 SDS)等について行った。
成績 すべての年代において男性は,女性に比べてモラール得点が有意に高く,Zung 指数は低い傾向にあった。男女共に年齢が高くなると Zung 指数は,高くなる傾向にあったが,モラール得点は,女性のみ年齢が高くなると低くなる傾向にあった。モラール得点と Zung 指数との偏相関係数を男女別にみたところ,男性は偏相関係数−0.5856(P<0.001),女性は−0.6363(P<0.001)であった。
結論 主観的幸福感が高い人ほど,抑うつ状態になりにくいことが認められた。また,健やかに老いるためには,健康状態や,活動水準,経済状況等などが重要なことであると改めて認識できた。高齢者の生きがい作り,健康作り,社会活動への普及事業,スポーツ活動のための様々な施策が必要であると思われる。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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