日本公衆衛生雑誌
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原著
社会医療診療行為別調査を用いた人工呼吸器使用期間と医療費への影響に関する分析
渡辺 励大日 康史
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2002 年 49 巻 4 号 p. 314-323

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抄録
目的 レトロスペクティブなデータであるレセプトデータを用いて人工呼吸器の使用期間とその医療費に関する影響を分析する。
方法 レセプトには 1 か月間の診療記録が記載されているが,その前後関係,また月をまたぐ診療行為の情報は含まれていない。そこで,人工呼吸器使用日数と入院期間,その月での入院日数との関係から,標本を complete, right censoring, left censoring, both censoring に分類し,Gompertz モデルを当てはめ,期待人工呼吸器使用日数を求めた。同時に日本全体での人数の推定,人工呼吸器使用に伴う医療費を推定した。その上でそれらの積として,人工呼吸器使用の医療費への影響を導出した。
成果 推定の結果,期待人工呼吸器使用日数は10~104日,その 1 日当たり期待費用は 3~4 万円,1 か月の発生件数は5,510人と推測されるので,その国民医療費への影響は180~2,500億円に相当する。
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© 2002 日本公衆衛生学会
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