日本公衆衛生雑誌
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生活習慣と主観的健康度のパス解析 —帯広市における健康日本21アンケート調査結果からの検討—
園田 智子森 満
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2003 年 50 巻 10 号 p. 1006-1016

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抄録

目的 帯広市における健康日本21地方計画の策定に際しアンケート調査を行い,帯広市民の健康課題を見出すことを目的とした。
方法 帯広市に住民票を有する 6 歳から74歳までの男女2000人を無作為抽出し調査対象とした。調査内容は健康日本21において国の目標値が設定されている 6 つの分野を中心とした。集計結果から帯広市の現状値を算出し,さらに生活習慣と主観的健康度の因果関係を探るため男女別にパス解析を行った。
成績 アンケートの回収率は49.0% (979/2000)であった。国の現状値と比べて,「ストレスを感じた人の割合」「睡眠の確保のために睡眠補助品やアルコールを使うことのある人の割合」「多量に飲酒する人の割合(男性)(女性)」「喫煙する人の割合(女性)」が高かった。「喫煙がおよぼす健康影響について知っている人の割合」は「気管支炎」「胃潰瘍」「妊娠に関連した異常」「歯周病」において低かった。
 パス解析では男女同時モデルを作成した。モデルの適合は良く,次の特徴が見出された。1)男女とも,ストレスがあると睡眠による休養が不足し自分を不健康だと思うが,睡眠で休養がとれているとストレスがあっても主観的健康度への影響は小さい。2)男女とも,喫煙は直接食生活に影響をおよぼすが,その影響は女性の方が大きい。3)男女とも,喫煙が主観的健康度におよぼす影響は食生活に関係なく小さい。4)女性では,飲酒量の多い人は健康だと思う傾向がある。
結論 帯広市の健康課題はストレスと喫煙ではないかと考えられた。ストレス対策として十分な睡眠の確保,喫煙対策として喫煙による健康障害の知識の徹底が示唆された。

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© 2003 日本公衆衛生学会
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