日本公衆衛生雑誌
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名古屋市内の住宅における室内空気中カビおよび室内空気汚染物質濃度
酒井 潔坪内 春夫三谷 一憲
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2003 年 50 巻 10 号 p. 1017-1029

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抄録
目的 住宅における空気中カビ濃度を調査するとともに,カビ濃度と室内空気汚染物質濃度ならびに温湿度との関連を検討することである。
方法 名古屋市内の住宅54戸の総カビ濃度,好乾性カビ濃度,室内空気汚染物質であるホルムアルデヒド,二酸化窒素,炭酸ガス,一酸化炭素の各濃度と温湿度を,1995年度~1997年度の夏季と冬季に調査した。空気中カビ濃度は,ピンホールサンプラー法で採取し,ディクロラン18%グリセロール培地(DG18 培地)を使用して測定するとともに,ポテト・デキストロース寒天培地(PDA 培地)による測定結果と比較した。
結果 1) DG18 培地は,室内空気中カビ濃度の測定に適していた。
 2) 屋内の総カビ濃度と好乾性カビ濃度の幾何平均値は,夏季では237~301 CFU/m3 と24.1~26.8 CFU/m3 であり,冬季では78.7~87.5 CFU/m3 と18.2~29.5 CFU/m3 であった。外気の総カビ濃度と好乾性カビ濃度の幾何平均値は,夏季では208 CFU/m3 と9.2 CFU/m3 であり,冬季では72.7 CFU/m3 と10.1 CFU/m3 であった。
 3) 屋内濃度および外気濃度が最も高かったカビは,Cladosporium 属であり,次いで Penicillium 属と Aspergillus 属であった。Aspergillus 属では,A. restrictus が最も高濃度であった。
 4) 夏季および冬季ともに総カビ濃度は屋内と外気の間で濃度差がなかったが,屋内外の総カビ濃度は夏季が冬季より有意に高かった(P<0.01)。夏季および冬季ともに好乾性カビの屋内濃度は外気濃度より有意に高かった(P<0.01)が,屋内外ともに夏季と冬季の間で濃度差がなかった。
 5) 総カビ濃度および好乾性カビ濃度は,住宅や床材質の種類,冷暖房の有無と関連がなかった。
 6) 総カビ濃度および好乾性カビ濃度は,室内空気汚染物質濃度との間に有意な関連はなかった。冬季には総カビ濃度および好乾性カビ濃度は平均湿度と有意な正の相関関係があった(P<0.01)。
結論 室内空気中総カビ濃度は外気濃度を反映していたが,好乾性カビ濃度は外気濃度と関連がなかった。室内空気中総カビ濃度ならびに好乾性カビ濃度は,室内空気汚染物質濃度と関連がなかった。
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© 2003 日本公衆衛生学会
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