抄録
目的 感染症発生動向調査に基づいて,インフルエンザ・小児科・眼科定点対象疾患について,すでに提案された方法を用いて,2002~2004年の罹患数を推計するとともに,その偏りの吟味を試みた。
方法 2002~2004年の各定点の感染症報告数および2002年の全医療施設数と各医療施設の外来患者延数を用いた。全医療施設から定点が無作為に選定という仮定の下で,罹患数の推計値と95%信頼区間を求めた。定点での感染症報告数を目的変数,外来患者延数を説明変数とする回帰式において,外来患者延数を代入して,全医療施設での仮説的な感染症報告数を設定した。定点での仮説的報告数から同じ方法で罹患数を推計し,全医療施設での合計(罹患数の真値に相当)と比較した。
結果 罹患数推計値はインフルエンザでは2002年が736万人(95%信頼区間:696~775万人),2003年が1,156万人(同:1,107~1,205万人),2004年が895万人(同:857~933万人)であった。小児科・眼科定点の14対象疾患では2002年の百日咳の1.1万人(同:0.8~1.3万人)から2004年の感染性胃腸炎の746.9万人(同:687.8~805.9万人)の範囲であった。仮説的報告数に基づく罹患数推計値は真値の1.07~1.33倍であった。
結論 インフルエンザ・小児科・眼科定点対象疾患の2002~2004年の罹患数推計値を示した。これはおおよそ全国の流行規模の目安を与えると考えられた。ただし,一定の仮定の下で算定されたものであって,過大評価の可能性が高いことに留意する必要がある。今後,罹患数の推計方法の検討を進めることが大切であろう。