臨床血液
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症例報告
非血縁者間臍帯血移植を施行した小児最重症再生不良性貧血
安井 直子康 勝好朴 明子加藤 元博森 麻希子秋山 康介関 正史高橋 寛吉花田 良二
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2012 年 53 巻 12 号 p. 1997-2002

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抄録
免疫抑制療法(IST)が無効の最重症再生不良性貧血(vSAA)に対して血縁HLA一致ドナー(MRD)が不在の場合には,近年,代替ドナーとして非血縁者からの同種骨髄移植が推奨される。しかし,感染症などの合併症により迅速な移植を要する場合には,血縁HLA不一致ドナー(MMRD)や非血縁臍帯血ドナーが選択肢に挙がる。前者では移植片対宿主病(GVHD)が問題となり,後者では生着不全が問題となる。我々は,MRDが不在でISTに不応のvSAAの10歳の男児例が細菌感染症を反復したため,早期の移植が必要であると判断し,low-dose TBIを含む前処置による臍帯血移植(CBT)を施行し良好な経過を得た。症例の蓄積が必要ではあるが,low-dose TBIはCBTにおける生着不全のリスクを軽減する可能性があり,同様の症例に対しCBTは選択肢となり得る。
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© 2012 一般社団法人 日本血液学会
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