抄録
免疫抑制療法(IST)が無効の最重症再生不良性貧血(vSAA)に対して血縁HLA一致ドナー(MRD)が不在の場合には,近年,代替ドナーとして非血縁者からの同種骨髄移植が推奨される。しかし,感染症などの合併症により迅速な移植を要する場合には,血縁HLA不一致ドナー(MMRD)や非血縁臍帯血ドナーが選択肢に挙がる。前者では移植片対宿主病(GVHD)が問題となり,後者では生着不全が問題となる。我々は,MRDが不在でISTに不応のvSAAの10歳の男児例が細菌感染症を反復したため,早期の移植が必要であると判断し,low-dose TBIを含む前処置による臍帯血移植(CBT)を施行し良好な経過を得た。症例の蓄積が必要ではあるが,low-dose TBIはCBTにおける生着不全のリスクを軽減する可能性があり,同様の症例に対しCBTは選択肢となり得る。