日本公衆衛生雑誌
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原著
地域在宅高齢者の介護予防推進ボランティア活動と社会・身体的健康および QOL との関係
島貫 秀樹本田 春彦伊藤 常久河西 敏幸高戸 仁郎坂本 譲犬塚 剛伊藤 弓月荒山 直子植木 章三芳賀 博
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2007 年 54 巻 11 号 p. 749-759

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抄録

目的 本研究は,高齢者の介護予防推進ボランティアへの参加による社会・身体的健康および QOL への影響について,1 年間の縦断データをもとに一般の高齢者との比較によって明らかにすることを目的とした。
方法 初回調査は,2003年に宮城県の農村部に在住する高齢者(70~84歳)を対象として行われた。初回調査に参加した1,503人の中から介護予防推進ボランティアの募集を行った。その結果,77人がボランティアリーダーに登録した。一年後,ボランティア活動による影響を明らかにするために,追跡調査をした。最終的に,介護予防推進ボランティア参加者69人と一般高齢者1,207人を分析対象者とした。ボランティア活動の社会・身体的健康指標および QOL 指標への影響については,ボランティア活動状況を説明変数,社会・身体的健康指標および QOL 指標を目的変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。
結果 ボランティア参加者に比べ一般高齢者は,知的能動性(OR:4.51,95%CI:1.60-12.74),社会的役割(OR:2.85,95%CI:1.11-7.27),日常生活動作に対する自己効力感(OR:4.58,95%CI:1.11-18.88),経済的ゆとり満足度(OR:2.83,95%CI:1.11-7.21),近所との交流頻度(OR:3.62,95%CI:1.29-10.16)の項目において有意に低下することが示された。
結論 高齢者の介護予防推進ボランティア活動への参加は,一般高齢者に比べ高次の生活機能やソーシャルネットワークの低下を抑制することが示唆された。

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© 2007 日本公衆衛生学会
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