日本公衆衛生雑誌
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原著
心理的健康の維持・増進のための望ましい生活習慣についての疫学研究
大平 哲也中村 知佳子今野 弘規岡田 武夫北村 明彦木山 昌彦中川 裕子佐藤 眞一中村 正和内藤 義彦黒川 通典仲下 祐美子山本 雅代亀井 和代堀井 裕子嶋本 喬
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2007 年 54 巻 4 号 p. 226-235

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抄録

目的 本研究は自覚的ストレス,うつ症状等の心理的健康と食事,運動,睡眠,飲酒,喫煙等の生活習慣との関連を検討することを目的とした。
方法 2001~02年に大阪府立健康科学センターの健康度測定コースを受診した男女7,947人(平均年齢52.4歳)を対象に,食事,運動,睡眠,飲酒,喫煙等の生活習慣を調査し,自覚的ストレスおよびうつ症状との関連について男女別に検討した。
結果 うつ症状を訴える者の頻度は自覚的ストレスを強く感じる者ほど高かった。多重ロジスティック分析の結果,男女ともに自覚的ストレス,うつ症状との関連がみられたものは,「身体活動量がかなり少ない」,「運動習慣がない」,「睡眠時間が少ない」,「朝食を抜くことがよくある」,「夕食後 1~2 時間以内に床につく」ことであった。また,男性では「間食または夜食をほぼ毎日とる」,「お腹いっぱい食べる」ことが,自覚的ストレスの多変量調整オッズ比の上昇と,「運動習慣がある」,「野菜類を毎食食べる」ことがうつ症状オッズ比の低下と関連した。女性では,「漬け物やおかずにしょうゆやソースをかけることが多い」ことが自覚的ストレスのオッズ比の上昇と,「大豆製品を毎日食べる」ことがオッズ比の低下と関連し,「煮物の味付けが濃い」ことがうつ症状のオッズ比の上昇と関連した。
結論 身体活動量が少ない,睡眠時間が少ない,朝食を抜く等の生活習慣は,男女ともに自覚的ストレス,うつ症状と関連することが示唆された。

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© 2007 日本公衆衛生学会
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