日本公衆衛生雑誌
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原著
大学生の性感染症予防に対する意識とコンドームの使用との関係 意識尺度の開発と予測性の検討
尼崎 光洋清水 安夫
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2008 年 55 巻 5 号 p. 306-317

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抄録

目的 本研究の目的は,性行動が活発化する青年期の大学生を対象に,性感染症予防を意図した心理・行動科学的な尺度の開発を行うことである。尺度の構成概念として,性感染症予防に効果的であるコンドームの使用に対する意識に着目し,性感染症の感染リスク行動および予防行動という二つの観点から尺度の構成概念の検討を行った。また,開発された尺度によるコンドーム使用行動の予測性について検討を行った。
方法 質問紙法による 2 回の調査を実施した。第 1 回目は,2006年 1 月に大学生362人(男180人,女182人)を対象に実施し,第 2 回目は,2007年 1 月に大学生248人(男121人,女127人)を対象に実施した。なお,今回の研究では,異性間の性交による性感染症予防に対する意識を検討するため,異性愛者を分析対象とした。
 尺度開発のために,探索的因子分析,ステップワイズ因子分析,検証的因子分析を実施した。また,抽出された各因子に対して,信頼性係数(Cronbach's α)を算出した。さらに,開発された尺度の予測性の検討を行うために,ロジスティック回帰分析による検討を行った。
結果 1) 大学生の性感染症予防行動に関する意識尺度(STDASUS)について,探索的因子分析の結果,4 因子(各 5 項目)が抽出され,計20項目構成となった。
2) 抽出された項目の精査を行うために,ステップワイズ因子分析を行った結果,4 因子(各 4 項目)の計16項目の尺度が開発された。各因子の α 係数は0.759~0.879であった。
3) 構成概念を検証するために,探索的因子分析を実施した調査対象者とは異なる対象者に対して,4 因子16項目の尺度を用いて検証的因子分析を実施した。その結果,尺度全体の適合度を表す指標は,GFI=0.916, AGFI=0.883, CFI=0.948, RMSEA=0.057を示した。
4) 最近の性交時のコンドームの使用状況を従属変数,大学生の性感染症予防行動に関する意識尺度を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果,統計的に有意な偏回帰係数(β=0.154, P<0.001)が認められた。
結論 本研究の結果,4 因子16項目による「大学生の性感染症予防行動に関する意識尺度」が開発された。尺度の信頼性および構成概念妥当性は,十分な適合値を示した。また,本尺度による近時点におけるコンドームの使用の有無の予測性が示唆され,今後のリスク行動および予防行動のアセスメントの可能性が推察された。

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© 2008 日本公衆衛生学会
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