日本公衆衛生雑誌
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病院における高齢者への退院支援の実施状況の調査 在宅ケア事業所の関与に着目して
中西 三春長江 弘子永田 智子服部 啓子新野 由子
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2008 年 55 巻 7 号 p. 456-464

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抄録
目的 病院における高齢者への退院支援の実施状況を把握し,在宅ケア事業所が病院内で関与しているか否かで退院支援活動の実施割合に差があるか比較検討した。
方法 分析対象は全国の100床以上を有する一般病院434施設であった。各病院における退院支援の担当者に質問紙調査を行い,在宅ケア事業所が病院内で退院支援に関与しているか否かを把握した。回答に基づき,対象病院を在宅ケア事業所が関与している「関与群」の138病院と,関与していない「非関与群」の296病院とに分類した。二群間で退院支援活動の実施割合を比較し,オッズ比(OR)を算出した。併設施設の有無を制御変数として投入した。
結果 退院支援として定義した24項目の活動のうち,13項目において二群間のオッズ比は有意であり,いずれも関与群の方が非関与群より実施割合は高かった(OR の範囲:2.430-5.497)。オッズ比が高かった上位 3 項目は「退院前訪問による療養環境調整と療養指導」,[OR=5.497, 95%信頼区間(CI): 2.604-11.602],「患者と家族との関係の調整」(OR=4.871, 95%CI: 1.323-17.930)および「在宅で無理なく実施できるケア方法の調整」(OR=4.740, 95%CI: 1.825-12.311)であった。
結論 在宅ケア事業所が病院内で退院支援に関与している病院では,「退院前訪問による療養環境調整と療養指導」,「患者と家族との関係の調整」および「在宅で無理なく実施できるケア方法の調整」といった高齢者への退院支援活動の実施割合が関与していない病院よりも高いことが示された。今後は病院の利用者の特徴や病院が地域で担う役割も考慮に入れて,退院支援による在院期間の短縮化や再入院率の減少,利用者や家族の満足度といった効果の検証が必要と考えられた。
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© 2008 日本公衆衛生学会
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