日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
公衆衛生活動報告
位置情報記録式 GPS 装置と心拍数記録装置を用いた高齢者のウォーキング指導の提案
髙石 鉄雄山田 美恵田中 勤金若 美幸柳澤 尚代
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 56 巻 3 号 p. 172-183

詳細
抄録
目的 位置情報記録式 GPS 装置と心拍数記録装置を使って高齢者のウォーキング実態を把握し,その結果に基づくウォーキング方法の指導がウォーキングの内容に及ぼす影響について検討する。
方法 ウォーキング習慣を持つ高齢者24人(69.6±4.5歳)に対して位置情報記録式 GPS 装置と心拍数記録装置を貸し出し,それらを自身で操作させることで,各被験者が実施しているウォーキングの実態(歩行経路,歩行速度および運動強度)を調査した。調査によって得られた結果と血液検査等の結果を基に各被験者に対して面接によるウォーキング指導を行い,その指導がこれらの調査項目に与える影響について検討した。
成績 1) 指導前後におけるウォーキング中の歩行速度は,男女それぞれ 91.8±12.8 m/分から 97.3±12.2 m/分,および 81.4±9.7 m/分から 85.6±7.0 m/分へといずれも有意に増加した(P<0.05)。
 2) 心拍数予備量に対する割合で表した指導前後におけるウォーキング中の運動強度は,男女それぞれ37.0±10.5%から48.6±8.9%,および34.9±13.4%から47.7±8.8%へいずれも有意に増加した(P<0.01)。
結論 位置情報記録式 GPS 装置と心拍数記録装置を併用することで,ウォーキング中の歩行速度,歩行経路および運動強度を明らかにすることができる。その結果を用いて個別に具体的なウォーキング指導を行うことは,ウォーキング内容の改善をもたらす。
著者関連情報
© 2009 日本公衆衛生学会
前の記事
feedback
Top