日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
資料
新潟県中越地震における震災直後の子供の食生活について
川野 直子伊藤 輝子高橋 東生
著者情報
キーワード: 震災, 災害食, 救援物資, 保存食
ジャーナル フリー

2009 年 56 巻 7 号 p. 463-467

詳細
抄録

目的 本調査は,ライフラインが使用不可能な災害時において,どのような食事が営まれていたのか,新潟県中越地震における子供たちの食生活を事例に,実態把握することを目的とした。
方法 新潟県中越地震(2004年10月23日マグニチュード6.8)の中心被災地の一つである小千谷市おいて震災当時の子供たちの食生活の実情に関するアンケート調査を実施した。またこれらの結果について KJ 法を用いてまとめ,気づいた点について考察した。
結果 アンケート回収率は80.4%,うち有効回答率は72.7%であった。震災発生翌日の子供の避難場所について調べたところ,自宅58人(6.5%),自宅周囲(車,テントなど)524人(59.0%),住居地域の避難所231人(26.0%),市外に避難させた38人(4.3%)であった。自宅に避難した者のうち67.2%が,自宅周囲に避難した者のうち53.8%は「自宅の保存食を食べた」と回答した。また自宅や自宅周囲に避難した582人のうち27.7%は,「救援物資」を利用していたが,それ以外は自分たちで用意した料理や食べ物を利用していた。さらに有効回答者のうち約 4 割強の者からは,震災翌日の食事内容についての具体的な回答を得ることができた。
結論 本震災被災者らは,ライフラインが使用できなかった震災当日や翌日において,地域住民と共に元々自宅にあった食品や料理を活用し,非常事態に対応していた者が多く存在していたことが明らかになった。

著者関連情報
© 2009 日本公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top