日本公衆衛生雑誌
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原著
幼児の発達過程を通した食欲と間食の内容・与え方,体格の検討
会退 友美赤松 利恵
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キーワード: 幼児, 食欲, 間食
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2010 年 57 巻 2 号 p. 95-103

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抄録

目的 本研究では,幼児の間食の与え方や内容が食欲に関連しているかを発達段階別に調べることを目的とする。さらに食欲,間食の与え方や内容,体格が発達段階を経ても継続するかについて検討する。
方法 平成12から15年度に静岡県伊東市で出生し,1 歳 6 か月児,3 歳児健康診査の両方を受診した1,313人の問診票から,食欲,間食の内容,与え方,体格,性別の項目を解析に用いた。食欲が「ある」または「普通」を「食欲あり/普通」とし,食欲が「ない」または「むら食い」を「食欲なし/むら食い」とした。体格は,肥満度を算出し,「やせ」,「標準」,「肥満」に分けた。間食の内容は,3 歳児の間食15種をクラスター分析した分類で検討した。1 歳 6 か月児と 3 歳児の食欲,間食の内容,間食の与え方,体格の比較には,McNemar 検定を用いた。1 歳 6 か月児,3 歳児それぞれ「食欲なし/むら食い」のリスクを単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
結果 解析対象者は,男児664人(50.6%),女児648人(49.4%)であった(欠損:1)。出生数に対する有効回答率は,56.5%であった。間食の内容は,「補食の間食」,「甘い•スナックの間食」,「健康的間食」に分かれた。
 1 歳 6 か月児から 3 歳児にかけて食欲に変化はみられなかったが,「子どもが勝手に食べる」と回答する者が増加するなど,間食の与え方や内容には変化がみられた。
 3 歳児の食欲の問題に影響を及ぼす要因では,1 歳 6 か月児の「食欲なし/むら食い」のオッズ比が4.70(95%CI:3.07-7.19)と最も高かった。その他,「間食の時間を決めていない」が1.81(95%CI:1.24-2.65),「子どもが勝手に食べる」が2.92(95%CI::1.45-5.87),「健康的間食が少ない」が0.69(95%CI:0.48-1.00)であった。1 歳 6 か月児の「食欲なし/むら食い」に対するオッズ比は,「間食の時間を決めていない」が1.68(95%CI:1.13-2.49),「子どもが欲しがった時に与える」が1.49(95%CI:1.01-2.19),「家族や近所の人からもらう」が2.46(95%CI:1.46-4.14),「やせ」が11.47(95%CI:3.20-41.15)であった。
結論 1 歳 6 か月児の「食欲なし/むら食い」は,3 歳児になっても継続していたことから,早期の教育が求められる。さらに 1 歳 6 か月児と 3 歳児では,「食欲なし/むら食い」のリスクが異なっており,発達段階に応じた栄養教育の必要性が示唆された。

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© 2010 日本公衆衛生学会
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