日本公衆衛生雑誌
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35中核市における中核市移行に伴う保健・福祉業務の変化
原 邦夫星子 美智子石竹 達也
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2010 年 57 巻 6 号 p. 448-457

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抄録

目的 本研究は,35中核市を対象に,中核市移行に伴う保健•福祉業務の変化の把握を目的とした。
方法 本研究では,中核市移行に伴う県からの委譲業務の中で保健•福祉等の業務—(1)福祉行政,(2)保健衛生,(3)都市計画,(4)環境保全行政,(5)教育,および(6)市の活性化—に焦点を当てた。アンケート調査票は,中核市移行後のそれらの委譲業務の実施状況と,業務の変化による市行政の活性化および市民•市職員の健康への影響について,選択肢で質問する27の項目と12の自由記述項目で構成するものとした。2008年 2 月中旬に電子メールでアンケート調査票を担当課に送付し,回答を求めた。
結果 2008年 3 月中旬に,35市中の合計で27市から得られた(回収率:77%)。回答した中核市は,障害児補装具の交付期間の短縮が進んでないこと,広域行政実施の困難さ,および教育センターの設立などのいくつかの課題はみられたが,ほとんどの委譲された業務をこなしていた。中核市として多くの業務が委譲されることで,自立的•自主的そして統一的に業務が実施できるようになっているとの回答が多かった。また,中核市移行に際して保健所が新設された市が27市中17市あり,保健所が新設された市では増員がなされ,市民と直接対応する組織の整備が進展し市行政の効率化が進んだとする回答が多くみられた。
結論 先行する35の中核市は,中核市移行に伴い大幅に委譲された保健•福祉業務をほぼ実施していた。中核市移行に伴って保健所を新設した中核市でも大幅に増員しつつ,業務変化に対応していた。

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© 2010 日本公衆衛生学会
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