日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
首都圏の中学生の最近のメンタルヘルス問題
松田 修
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2011 年 58 巻 2 号 p. 111-115

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抄録
目的 本研究の目的は,公立中学校における生徒のメンタルヘルスの動向と学校での取り組みの現状および課題を明らかにすることである。
方法 本研究は,2008年11月~2009年 3 月にかけて首都圏(東京都,埼玉県,神奈川県)の47市区町村の公立中学校(507校)に対して実施された「公立中学校生徒の精神保健の現状とこころの病気を学ぶ授業に関する調査」の中から,生徒のメンタルヘルスに関する質問項目のデータを分析した結果である。このデータには,(1)生徒のメンタルヘルスの状況(例,過去 3 年間に増加した問題,精神科の通院状況),(2)学校の対応状況に関する質問が含まれた。2009年 6 月現在,163校から回答を得た(回収率32.1%)。回答者のうち151人(92.6%)が養護教諭または養護主幹教諭であった。
結果 こころの健康状態に何らかの問題を持つ生徒がいる学校は160校(99%)で,約半数の学校がこうした生徒が過去 3 年間で増えていると回答した。ストレスや悩みごとを抱える生徒,自信を持てない生徒,集中力が持続しない生徒,イライラしやすい生徒が増加したと回答した学校は全体の半数を超えた。こころの健康問題で精神医療の専門機関を受診している生徒がいる学校は全体の84%で,約 3 分の 1 の学校がこうした生徒が増えていると回答した。過去 3 年間にうつ病と診断された生徒がいる学校は全体の37%で,現在も通院中の生徒がいる学校は27%であった。約85%の学校が生徒からこころの健康問題について相談を受ける機会が増えたと回答した。しかしその一方で,約半数の回答者から,こころの健康問題に対応する時間がないという意見や,こうした問題について保護者や医療機関とどのように関わったらよいかわからないという意見が寄せられた。
結論 今回の調査から,今日の中学生のこころの健康問題の深刻さと,学校としての対応の難しさが示唆された。とくに,学校•保護者•医療機関の連携が目下の課題であるようだ。
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© 2011 日本公衆衛生学会
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