日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
小児救急無料パンフレットの保管率と保護者の意見
丹 佳子
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2011 年 58 巻 7 号 p. 526-538

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抄録
目的 育児中の保護者にとって配布された印刷物は有効な情報源である。小児救急パンフレットを受け取った幼稚園児の保護者を対象に,保管率,評価,役に立った内容等を明らかにすることによって,パンフレットの効果的な配布方法,含むべき内容を検討した。
方法 対象は幼稚園児の保護者269人。幼稚園を通じてパンフレットを配布し,その 2 か月後にパンフレットの保管状況や形態•内容に対する評価について無記名の質問紙調査を行った。パンフレット(筆者が作成)は母子健康手帳サイズの A6 判,オールカラー20ページ,主な内容は日常的に出会う 6 つの症状(発熱•ひきつけ•嘔吐•下痢•咳•腹痛)についての受診基準,受診判断のための情報収集技術としてフィジカルアセスメント方法やホームケアの方法,知っておくと便利な「小児救急医療電話相談」等の電話番号や URL である。
結果 有効回収数は111枚(有効回収率41.3%)。回答者の年齢(平均値±標準偏差)は36.0±4.50歳で,このうち,パンフレットを保管していたのは74人(66.7%)であった。保護者の属性と保管の有無との関係をみたところ,パンフレット配布後の急病体験(P<0.05)で有意差が認められ,保管あり群の方がなし群と比較して急病体験者の割合が高かった。保管者のうち,パンフレットに目を通した人は67人(90.5%)で,そのうち,役に立ったページがあったと回答した人は51人(76.1%),今後も使用したいという人は63人(94.0%)であった。役に立った項目を症状(発熱•ひきつけ•嘔吐•下痢•咳•腹痛)とその他(よくある質問•記録•電話 URL リスト)別にたずねたところ,最も多かったのは,「電話 URL リスト」で28人(54.9%),次いで「発熱の受診判断」24人(47.1%),「よくある質問」21人(41.2%)と続いた。
結論 急病体験者はパンフレット保管率が有意に高かったことから,急病体験の多い月齢の子どもの保護者に配布すると保管してもらいやすく,使用頻度も高まるのではないかと考える。また,パンフレットの内容では「電話 URL リスト」が役に立った人が多かったことから,今後はパンフレットですべての情報提供をするというよりも,必要な情報を効果的に探す方法や,得た情報の使い方などをパンフレットに含むことで,より実用的な教材になると思われる。
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© 2011 日本公衆衛生学会
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