日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
認知症高齢者グループホームにおけるケアスタッフのバーンアウトと個人特性と職場環境要因との関連
古村 美津代石竹 達也
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2012 年 59 巻 11 号 p. 822-832

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抄録

目的 この研究の目的は,認知症高齢者グループホーム(以下,GH)のケアスタッフのバーンアウトと個人特性•職場環境•ストレスコーピングの関連を明らかにする。
方法 福岡県の47か所の GH に勤務するケアスタッフ600人に無記名自記式質問紙調査を実施した。回答の得られた333人を分析対象とした。質問紙は,バーンアウト,個人特性,職場環境,ストレスコーピングの項目で構成された。マスラックのバーンアウト尺度(MBI)の日本語版を使用した。
結果 ケアスタッフの平均年齢は42.5歳だった。彼らの雇用形態は正規職員75.4%,非正規職員は22.8%だった。年収が200万円未満は,178人(53.5%)だった。彼らの80%は,仕事に対して将来の不安を感じていた。MBI の 3 つの下位尺度の得点は,情緒的消耗感14.3,脱人格化11.2,個人的達成感16.1であった。個人特性と職場環境要因で調整後,ケアスタッフのバーンアウトはケアスタッフの抱える「認知症高齢者との葛藤」,「職場のサポート体制」,「スタッフ同士の葛藤」,「負担感」の 4 つの困難と有意に関連していた。積極的認知•行動は,バーンアウトの低減につながり,情緒的消耗感,脱人格化は,回避的認知•行動に関連していた。
結論 GH のケアスタッフのバーンアウトは,ケアスタッフが抱える困難と関連していた。この研究結果は,職場環境の改善に加えて日々の業務に伴う困難の取扱いを支援する必要性が示唆された。

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© 2012 日本公衆衛生学会
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