日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
日本の公立大学における災害対策の現状
廣内 智子田中 守島田 郁子吉本 好延佐藤 厚
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2012 年 59 巻 3 号 p. 183-188

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抄録

目的 大規模震災時に期待される大学の対応は,学生と地域住民の生命および身体の安全の確保である。本研究では,地域社会と密接な関係にある公立大学を対象に災害対策の実態を明らかにすることを目的とし,2011年 3 月25日から 5 月10日に,全国公立大学77校にアンケート調査を実施した。
方法 調査項目は災害発生時に地域の避難場所に指定されているか否か,災害対策マニュアルの有無,防災用具の備蓄状況,飲料水の備蓄状況,災害食の備蓄状況などの計10項目とした。
結果 地域の避難場所に指定されている大学は51%であった。避難場所に指定されている大学,指定されていない大学それぞれでの対応は,災害対策マニュアルを作成しているが42%•57%,防災用品を備えているが55%•33%,飲料水を備蓄しているが32%•13%,災害食を備蓄しているが26%•7%であった。
結論 災害発生時における地域の避難場所の指定の有無にかかわらず,公立大学の過半数が災害対策マニュアルを作成しておらず,防災用品や食糧等の支援物資の備蓄もほとんど整備されていない実態が明らかとなった。

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© 2012 日本公衆衛生学会
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