日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
原著
母親を対象とする地域活動の機能とそれに関連する先行要因と活動形態の検討
川崎 千恵
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 65 巻 10 号 p. 602-614

詳細
抄録

目的 本研究は,乳幼児を育てる母親を対象とした地域活動の機能とその実態,機能の構造を明らかにするとともに,機能に関連する母親の先行要因,地域活動の形態を明らかにすることを目的とした。

方法 先行研究から得られた概念枠組みに基づき,地域活動の機能を測定する5つの下位尺度から成る45項目,母親の先行要因,地域活動の形態等から成る調査票を作成し,首都圏近郊の地域活動に参加している母親に1,100人に配布した。各下位尺度の構成概念妥当性と信頼性について,確認的因子分析と信頼性係数により検討した。地域活動の機能を測定する5つの下位尺度の構造について,共分散構造分析により検討した。地域活動の機能に関連する母親の先行要因,地域活動の形態については,相関係数および重回帰分析の結果により検討した。

結果 回答を得た405人(回収率36.8%)のうち379人を分析対象とした(有効回答率93.5%)。地域活動の機能を測定する「母親に効果をもたらす地域活動機能評価尺度」の確認的因子分析の結果,5つの各下位尺度(39項目)のモデル適合度と信頼性係数が高く,内的整合性が確保されていた。共分散構造分析の結果,下位尺度の構造が明らかになった(CFI=0.858, RMSEA=0.060)。重回帰分析の結果,地域活動の5つの機能に関連する母親の先行要因や地域活動の形態が明らかになった。

結論 「母親に効果をもたらす地域活動機能評価尺度」(CAFES)で測定する,地域活動の5つの機能は,他の機能と関連しながら働くことが示唆された。地域活動の機能に関連する先行要因や活動の形態が確認され,とくに参加回数が「10回以上」であること,活動の形態では「運営に母親が携わる」「半日開催」であることが,機能を促進する可能性が示唆された。CAFESを一般化して使用するためには,集団特性に多様性を持たせ,精錬することが今後の課題である。

著者関連情報
© 2018 日本公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top