日本公衆衛生雑誌
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全国市区町村の保健師を対象とした産後うつ病に関する学習ニーズ調査
武井 勇介神崎 由紀宮村 季浩
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2025 年 72 巻 12 号 p. 951-960

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抄録

目的 全国市区町村の母子保健を担当する保健師が希望する,産後うつ病に関する学習ニーズを明らかにする。

方法 全国1,741市区町村の母子保健担当部署に勤務する保健師,各部署1人を対象として,無記名自記式質問紙郵送調査を実施した。調査項目は,性別,年代,保健師経験年数,これまでの研修費用,研修の参加方法,今後希望する産後うつ病に関する学習内容等とし,調査は全23項目とした。分析は,各属性との関連にSpearmanの順位相関係数,研修参加有無との比較にMann–Whitney U検定,経験年数別の比較にKruskal–Wallis検定を用い,Bonferroniによる多重比較を行った。

結果 質問紙の配布数は,1,741部,回収数は630件(回収率36.2%)であった。年齢は平均40.0歳±9.4歳で,40歳代が233人(37.0%)と最も多かった。保健師経験年数は,平均12.7±8.9年で,1~5年166人(26.3%)が最も多かった。過去に産後うつ病に関する研修会への参加の有無では,「あり」501人(79.5%)であった。今後,産後うつ病に関する研修会への参加希望では,「あり」と回答したのは476人(75.6%)であった。これまでの研修費用は,無料427人(67.8%),公費242人(38.4%)が多く,自費68人(10.8%)であった。研修の実施形態の希望では,オンデマンド(需要に応じて動画視聴)研修325人(51.6%),オンライン(リアルタイム)研修284人(45.1%)の順に多かった。希望する産後うつ病に関する学習内容で,6割以上が「はい」と回答した項目は,産後うつ病の病態407人(64.6%),EPDSの正しい使用方法418人(66.3%),母親の精神症状をアセスメントする視点536人(85.1%),希死念慮・自殺念慮への対応方法478人(75.9%)であった。産後うつ病に関する研修会への参加の有無と学習内容では,「EPDSの正しい使用方法(P=.004)」および「地域にある社会資源(P=.002)」について有意な差が認められた。

結論 保健師の約8割が産後うつ病に関する研修会に参加した経験があり,今後も研修を希望していることが明らかとなった。研修方法では,情報通信技術を活用した学習方法を望み,希望する学習内容は,「母親の精神症状をアセスメントする視点」,「希死念慮・自殺念慮への対応方法」,「EPDSの正しい使用方法」,「産後うつ病の病態」など,実践に直結する学習内容が求められていた。

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