日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
原著
高齢者における地域の人々とのつながり観とその関連要因
吉田 明日香平野 美千代
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2026 年 73 巻 2 号 p. 147-155

詳細
抄録

目的 社会的孤立は退職など生活環境が変化する高齢者において対応すべき課題であり,社会的孤立の予防には,ソーシャルインクルージョン(Social Inclusion:SI)や地域の人々とのつながりの構築が重要である。とくに,高齢者の場合,主観的な地域の人々とのつながりについて明らかにすることは,地域のつながりの構築に向けて重要である。そこで本研究は,高齢者における地域の人々とのつながり観とその関連要因を明らかにすることを目的とする。

方法 対象は,都市部に在住する70歳代,80歳代の男女800人とした。2024年2月に郵送法による無記名自記式質問紙調査を行った。調査項目は,属性,地域の人々とのつながり観,ソーシャルネットワーク(Social Network:SN),SI,地域の関係性とした。分析は,従属変数は地域の人々とのつながり観,独立変数はSN,SI,地域の関係性,共変量を属性とした強制投入法による重回帰分析を行った。

結果 回収数は338部,有効回答数は316部(有効回答率39.5%)であった。対象の平均年齢は79.0±5.4歳,男性172人(54.4%)であった。地域の人々とのつながり観の平均点は83.4±17.6点,最低点は36点,最高点は131点であった。重回帰分析の結果,地域の人々とのつながり観と有意に関連したのは,SN(標準偏回帰係数(β)=0.124,P=0.012),SIの「つながり」(β=0.132,P=0.023),SIの「参加」(β=0.100,P=0.047),地域の関係性(β=0.469,P<0.001)であった。

結論 高齢者の主観的なつながりにはSNやSIの「つながり」「参加」という客観的なつながりが関連していた。地域住民全体がつながっているという地域の関係性のとらえ方が高齢者における地域の人々とのつながり観に関連することが示唆された。地域の人々の行動などの地域全体への伝播や地域の質の向上が,地域の人々とのつながり観へ関連したことが推察される。

著者関連情報
© 2026 日本公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top