日本公衆衛生雑誌
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原著
パンデミック時の行政保健師による電話を用いたCOVID-19患者の在宅療養支援への対応技術の明確化
有馬 和代 伊藤 美樹子
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2026 年 73 巻 2 号 p. 156-166

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抄録

目的 パンデミック時の行政保健師による電話を用いたCOVID-19患者の在宅療養支援に対する対応技術を明確化する。

方法 府県,政令指定都市,中核市を含む5つの保健所から,COVID-19患者の在宅療養経験がある管理職保健師,新任期保健師各5人に面接調査を実施し,Braun & Clarkeらを参考に質的研究を行った。

結果 分析より,電話対応時に必要な対応技術として68コードが得られ,内10コードは管理職保健師のみから得られた。全コードから8カテゴリーに統合され,最終的に3つの主要な対応技術に統合された。3つの主要対応技術は『非協力的,攻撃的な人をも含む面識のないCOVID-19患者との継続的な支援関係の構築技術』と,『変化に即応した最適な感染症の療養環境の構築技術』,『COVID-19患者や家族のセルフケア能力を高める支援技術』である。パンデミック下で在宅療養中のCOVID-19患者への電話での療養支援では,表出された言語だけでなく,多角的な根拠情報を得るため,更なる言語的な表出の促しや非言語的な情報収集も行っていた。また応答拒否や処遇への非難,叱責,強い要求への対応も含まれていた。管理職保健師のみから語られていた内容のカテゴリーは,【まん延防止措置に対する反発を受止めつつ,行政権限を行使する保健所職員の立場を自覚し,COVID-19患者の応諾を得るために説明を尽くそうと努める】,【COVID-19患者や家族,その地域に生活する人の視点からコロナの脅威を理解し,啓発活動に繋げる】であり,それ以外のサブカテゴリーでは[患者に意図的に指示を出し,体位や動作反応から精度の高いバイタル情報を引き出す]であった。管理職保健師は,豊富な経験値から患者や家族の様子を想像しやすく,感情的知性を発揮して効果的な会話を行うことができており,これが「異常」を察知する力にも繋がっていた。

結論 本研究は,COVID-19患者への電話での在宅療養支援の経験で用いた判断や態度,考え方を含む対応技術が抽出され,感染症における公衆衛生上の特有な問題に対処する技術が見出されていることから,今後の感染症対応に強い保健師の育成に有益な知見と考える。

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