日本公衆衛生雑誌
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原著
随時尿による食塩・カリウム推定摂取量と尿ナトリウム/カリウム比の10年後の比較:NIPPON DATA2010
北岡 かおり 門田 文由田 克士岡見 雪子近藤 慶子原田 亜紀子奥田 奈賀子大久保 孝義岡村 智教三浦 克之
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2026 年 73 巻 2 号 p. 139-146

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抄録

目的 全国の一般地域住民を対象に,随時尿で評価した推定食塩摂取量,推定カリウム摂取量,尿ナトリウム/カリウム比(Na/K比)について,性・年齢群別および地域別にベースラインと10年後の調査結果を比較した。

方法 平成22年国民健康・栄養調査参加者を対象としたコホート研究であるNIPPON DATA2010の2020年度追跡調査対象者2,244人を対象とした。尿検査への参加同意者798人に自己採尿キットを送付して採尿した。推定食塩摂取量(g/日),推定カリウム摂取量(mg/日)は田中の式を用いて算出,また尿Na/K比(mmol/mmol)を算出した。2010年時と2020年時の両方の尿検査結果がある者は667人(ベースライン時平均年齢54.8±13.4歳,女性59.1%)であった。ベースライン時点の年齢で男性60歳未満,男性60歳以上群,女性60歳未満群,女性60歳以上群の4群に分類,地域は7地域に分類した。ベースラインと10年後の比較は対応のあるt検定を用いて評価した。

結果 ベースライン時と10年後の性・年齢区分による比較では,推定食塩摂取量はすべての群において有意差を認めなかった。推定カリウム摂取量は男性60歳以上群,女性60歳未満・60歳以上群で有意に高値を示し,男性60歳未満は10年後が高い傾向を示した。尿Na/K比は男性60歳以上群:ベースライン4.14±2.57,10年後3.38±2.10(P=0.002),女性60歳未満群:ベースライン4.05±2.23,10年後3.44±1.91(P<0.001),女性60歳以上群:ベースライン3.76±1.79,10年後3.03±1.78(P<0.001)であったが男性60歳未満では有意な差を認めなかった。地域区分別では,尿Na/K比が東北,関東,近畿で10年後に有意に低値を示した。

結論 全国の一般住民において,ベースラインと10年後の尿検査値を比較した結果,女性および60歳以上男性は推定カリウム摂取量が有意に高値,尿Na/K比が有意に低値を示した。本研究において特定の性,年齢群や地域における対策強化の必要性が示唆された。

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