2026 年 73 巻 8 号 p. 696-706
目的 健康日本21(第三次)では健康無関心層への対策が重視されている。本研究では,健康関心度とフレイル予防の3要素である「定期的な運動」,「多様な食品摂取」,「社会参加活動」を取り上げ,それらフレイル予防行動の実践状況との関連とともに,その関連が対象者の属性により異なるかどうか検討することを目的とした。
方法 埼玉県和光市に在住する65歳以上で要介護3以上の認定を受けていない住民14,013人を対象とした郵送調査(2023年実施)のデータを用い,有効回答者6,429人を解析対象とした。フレイル予防の3要素に基づき実践状況を操作的に定義し,定期的な運動(週1回以上),多様な食品摂取(食品摂取の多様性得点4点以上),社会参加活動(就労,ボランティア,スポーツ,趣味関係のグループ,学習・教養サークル,介護予防のための通いの場,老人クラブ,町内会・自治会の活動のうち,いずれか1つ以上の参加)を用い,実践状況を把握した。健康関心度は小澤らの健康関心度尺度(得点範囲:12–48点)を用いて評価し,5分位に分けた。主要な交絡要因を調整した修正ポアソン回帰分析を行い,prevalence ratio(95%信頼区間)を推定した。また,健康関心度と基本属性(性別,年齢層)との交互作用項を投入した解析を実施した。
結果 フレイル予防の3要素をすべて実践している者の割合は22.9%であり,健康関心度尺度の平均値±標準偏差は36.6±5.2点であった。健康関心度が最も高い群(第5五分位)に比べて,最も低い群(第1五分位)では,定期的な運動(prevalence ratio=0.64,[95%信頼区間=0.59–0.68]),多様な食品摂取(0.65[0.59–0.71]),社会参加活動(0.83[0.78–0.90])を実践している者が少なく,3要素すべて実践している者も少なかった(0.45[0.38–0.53])。また,社会参加活動の実践において,健康関心度と年齢層の有意な交互作用がみられた(P=0.031)。65–74歳に比べて,75歳以上で健康関心度の低さと社会参加活動不参加との関連が強かった。
結論 健康への関心が低い者ほどフレイル予防行動を行っていないことが明らかになり,フレイル予防の文脈においても健康関心度を考慮した働きかけが重要であることが示唆された。