抄録
プラント産業においては、保守作業者は作業手順書を使用して作業することが一般的である。国内の原子力発電所の不 具合には作業手順書に係る要因が多くを占めており、作業手順書自体の改善が望まれているが、具体的な改善方法は提 案されていない。そこで、作業手順書の具体的な改善方法を探究するために、保守作業者が作業手順書を使用して作業する場合の認知行動モデルを提案した。モデルの検討にあたっては、FRAM手法(Functional Resonance Analysis Method) を活用し、作業手順書に必要な情報を整理し、その情報の表現形態上の問題点を抽出した。また、そのモデルの妥当性を確認するために、保守作業者によるレゴ・ブロック組立の基礎的実験を行った。実験においては、無意味な形と自動車の形の2種類のレゴ・ブロックと、5種類の作業手順書を用意し、ヒューマン・エラー数との関係について有用な知見を得た。