抄録
遮音壁を道路の合流部等に設置する際は,開口部からの漏れ音を抑制するためオーバーラップさせる.本論文では,オーバーラップさせた遮音壁の近傍における騒音レベルLA,LBの計算方法をLBE-11と称して提案する.LBE-11では, オーバーラップの開口部からの直達, 反射, および回折による伝搬により騒音が大きくなること, ならびに遮音壁がオーバーラップしている上方からの伝搬では騒音が大きく減衰することを考慮する.LBE-11は1/25の縮尺模型実験で評価し,実務で活用できる精密さ(precision)を有していることを確認した.さらに, 音源を道路交通の線音源とした試算を行い, 遮音壁が二重になっている箇所の上方を伝搬する騒音の計算は簡素化できるが,開口部の反射音および回折音は考慮する必要があることを明らかにした.