Journal of the Japan Petroleum Institute
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飽和炭化水素の分子構造が自動酸化による過酸化物生成およびセタン価向上に及ぼす影響
橋本 公太郎中島 拓新井 充田村 昌三
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2003 年 46 巻 2 号 p. 142-147

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抄録
着火性の低い (低セタン価) ディーゼル燃料は低温始動性が悪く, ディーゼルノックを起こすなどの問題があるため, そのセタン価を向上させる必要がある。セタン価向上法としてはセタン価向上剤の添加が挙げられるが, セタン価向上剤の添加はコストがかかるため, 新たなセタン価向上法の開発が期待されている。筆者らは, ディーゼル燃料を自動酸化することにより過酸化物を生成させ, その過酸化物によるセタン価向上法を提案した。炭化水素の分子構造が自動酸化による過酸化物生成に及ぼす影響および生成した過酸化物のセタン価向上効果に及ぼす影響を把握することは, 自動酸化によるセタン価向上を実用化する上において重要である。そこで, 本研究では, まず飽和炭化水素の炭素数, 枝分かれが自動酸化による過酸化物生成量に及ぼす影響を調べた。その結果, 直鎖の炭化水素においては, 炭素数が小さいほど自動酸化による過酸化物濃度は高くなった。次に, 生成した過酸化物のセタン価向上効果を測定した。その結果, 直鎖の炭化水素においては, 炭素数が小さいほど過酸化物のセタン価向上効果が大きくなる結果となった。さらに, ナフタレン類には自動酸化による過酸化物生成を抑制する効果が認められた。
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© 2003 公益社団法人石油学会
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