抄録
MFI型ゼオライト触媒によるn-ヘキサンの接触分解について検討した。ゼオライト触媒の酸点密度や結晶サイズについて詳細に検討するため,熱分解の影響がほとんどない反応温度823 Kで行った。MFI型ゼオライトによるn-ヘキサン接触分解では,触媒活性が安定しており,酸点密度の異なるMFI型ゼオライトを用いた場合,生成物収率とn-ヘキサン転化率の関係は一本の曲線で表せることが明らかになった。さらに,結晶サイズの異なるマクロクリスタル(1.5 μm)とナノクリスタル(150-200 nm)を合成し,ゼオライト触媒の結晶サイズが触媒活性や低級オレフィン収率に与える影響について検討した。ナノクリスタルを用いた場合,マクロクリスタルと比較して,低級オレフィン選択率が高く,高活性を維持する結果となった。これは,マクロクリスタルに析出したコーク量よりもナノクリスタルに析出したコーク量が少なかったことから,結晶サイズの微小化によって原料/生成物の細孔内拡散抵抗が低減したためであると考えられる。このようにMFI型ゼオライトナノクリスタルによるn-ヘキサンの接触分解は,長時間安定的に低級オレフィンを得られることが示唆された。