抄録
【目的】COPD,慢性間質性肺炎(IP)患者の終末期医療に関する考え方を明らかにする.【方法】非増悪期に質問票により調査し,終末期医療に関する意思決定への主体的関与を希望した例(自分群)と家族に任せることを希望した例(家族群)に分け検討した.【結果】COPD 12例,IP 9例を登録した.自分群(COPD 6例,IP 6例)は家族群(COPD 6例,IP 3例)より高齢で自覚症状が強く,全て在宅酸素療法中で,1年以内の増悪歴や過去の終末期医療に関する病状説明受歴が多かった.自分群のCOPD 33%,IP 67%,家族群のCOPD 17%,IP全例が心肺延命処置に関し「今は考えたくない」と答えた.【考察】進行した病状,過去の増悪体験,終末期医療に関する説明受歴を有する患者が終末期医療に関する意思決定への主体的関与を希望する傾向を認めたが,個別の質問には意思表示を躊躇することもあり,複雑な患者心理及び医療従事者側と患者,家族側で価値観,理解に大きな乖離が存在する可能性が示唆された.