Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文 ―特集: ゼオライトの新規合成プロセスの開拓―
粉砕および再結晶化法を組み合わせた微細ゼオライトの新規製造法
脇原 徹 多々見 純一
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2013 年 56 巻 4 号 p. 206-213

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抄録

ミクロンサイズのゼオライト粒子に比べ,ナノゼオライトは外表面積が大きく,細孔内拡散が促進されることによって,イオン交換特性や吸着特性,触媒反応特性などが向上することが知られている。現在,各種特性の向上を目的としたゼオライトナノ粒子合成に関する研究が盛んに行われている。既往のゼオライトナノ粒子合成に関する研究の多くはボトムアップ法,すなわち4級アンモニウム塩や特殊な有機物を用い,核発生・結晶成長を制御することにより達成されている。しかし,コスト的な制約からゼオライト合成時に有機物を使用しない新規ナノゼオライト製造プロセスの確立が望まれている。そこで著者らはボトムアップ法に代わるナノゼオライトの調製法として,ゼオライト表面の非晶質化を最低限に抑えた粉砕が可能であるビーズミルを用いた,トップダウン手法による微細化に注目した。具体的には,ビーズミル粉砕処理したゼオライトにポスト処理(再結晶化処理)を施したところ,結晶性の高いナノゼオライトが調製できることを明らかにした。また,A型ゼオライトに関してはイオン交換特性,ZSM-5型ゼオライトに関しては触媒特性の向上を確認した。本稿で紹介した技術は,粉砕法と後処理を組み合わせることで高結晶性ナノゼオライトを調製することを可能とするものであり,有機テンプレートを使わない,大量生産に適したナノゼオライト作製プロセスとして有望であると考えている。

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© 2013 公益社団法人石油学会
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