Journal of the Japan Petroleum Institute
Online ISSN : 1349-273X
Print ISSN : 1346-8804
ISSN-L : 1346-8804
一般論文
吸水性ポリマーを用いた原油中水型(W/O)エマルジョンからの水分離
中野 知佑高田 雄太千田 勇太郎加藤 純雄小笠原 正剛池内 孝夫進藤 隆世志
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 61 巻 2 号 p. 59-71

詳細
抄録

化学解乳化剤を用いない原油中水型エマルジョン(原油系W/Oエマルジョン)の効率的な解乳化(油水分離)を検討するため,ポリアクリル酸–ポリアクリル酸ナトリウム共重合体を吸水性ポリマー(WAP)として用いた原油系W/Oエマルジョンからの水分離を回分式,流通式の両方式で試行した。WAPには2種類の市販品(粒状,繊維状)を使用した。その結果,いずれのWAPを用いたときにも原油系W/Oエマルジョンからの水分離は回分式,流通式を問わず可能であり,重力沈降による水の沈降分離よりも迅速であること,有機溶媒の乾燥に用いられるゼオライトと比較して早期の水分離が可能であることが示唆された。また,WAPを用いた水分離を高温下(50~70 ℃)および/または高圧下(1.0~1.5 MPa)において行ったとき,水分離効率は向上すること,流通式を用いることで連続的な水分離は可能であることが示唆された。さらに,実験後のWAPは,トルエンで洗浄したのちに乾燥させることで再使用(再生)可能であることも示され,原油系W/Oエマルジョンの重力沈降,遠心分離,熱処理以外の物理的解乳化(油水分離)において,WAPの使用は有効であることが示唆された。

Fullsize Image
著者関連情報
© 2018 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top