2020 年 63 巻 2 号 p. 79-88
近年,高温高圧水技術(以下,水熱分解法)が様々な分野で利用されており,アスファルトの回収技術への応用も提案されている。本研究では,物理的性状,化学的性状および動的粘弾性状から,劣化したアスファルトに対する水熱分解の回復効果を確認した。その結果,まず反応温度350~360 ℃,反応時間15分程度の水熱分解後のアスファルトは,針入度,軟化点,伸度の物理的性状において,大きな回復効果を示した。また,異なる構成成分比率のアスファルトにおいても,水熱分解法により物理的性状が同程度の回復傾向を示した。次に,化学的性状において水熱分解後のアスファルトは,水熱分解法の有する溶媒,熱分解,加水分解の相互作用により,劣化により蓄積した高分子が低分子化し,従来の再生方法では減少しなかった酸化度合いの減少が確認された。さらに,動的粘弾性状において,水熱分解後のアスファルトは,疲労ひび割れ抵抗性および耐流動性が新規アスファルトと比較して向上しており,再生加熱アスファルト混合物への利用の可能性を示唆した。